筆を使った後は、きちんと手入れをしてあげることで長く使うことができます。この記事では、筆の洗い方や乾かし方・保管方法など、筆の手入れ方法についてまとめています。
※出品者によって納品物や利用条件が異なります。詳しくは公式サイトをご確認ください。
筆の洗い方
筆の洗い方は、大筆と小筆で異なります。それぞれ手順を説明します。
大筆の洗い方
1.根元から毛先まで手を使ってほぐし、墨が落ちるまで洗う
大筆は、毛束の根元から毛先までを手を使ってほぐしながら洗うことがポイントです。大筆は特に根元に墨が溜まりやすいので、根元を水で流しながら墨を押し出すような感じで洗いましょう。
毛先を指で広げながら水をあてて、内部の墨を洗い流してください。完全に墨を取り除くことはできないので、ある程度で構いません。流れる水が黒くなくなるまでは、繰り返して優しく洗います。
2.洗い終えたら、毛先を優しく絞って水分を切る
洗い終えたら、次に毛先を優しくキュッと絞って毛束に溜まっている水分を切ります。筆を振りながら水を切ってしまうと、毛束が乱れてしまうので控えましょう。
3.穂先をきちんと揃え(整え)、吊るして自然に乾燥させる
水分が切れたら、穂先をきちんと揃えて(整えて)ください。そして吊るして、自然に乾燥させます。以上が、大筆の洗い方です。
小筆の洗い方
続いて小筆の洗い方ですが、こちらは水につけたり、流水で洗ってはいけません。
小筆は、毛の半分ほどが糊で固められている「固め筆」と呼ばれる種類です。水でジャブジャブ洗うと、糊が溶けて使い物にならなくなってしまいます。
以下のように、ティッシュを使って優しく墨を拭き取ってお手入れします。
1.ティッシュを用意して、水を数滴含ませる
水を数滴含ませたティッシュを用意してください。
2.ティッシュの上に筆先を置き、墨を拭き取る
水を含ませた部分に筆先を置き(付けて)、墨を拭き取りましょう。以下のように、墨が付いた穂先部分を優しく押し当てながら墨を取り除いていきます。
3.墨が取れたら、穂先を整え吊るして自然に乾燥させる
墨が取れたら、小筆も穂先を整えてください。大筆と同様に、吊るして自然に乾燥させます。
筆の乾かし方
筆は、穂先を下にして立てて、自然乾燥させます。
大筆・小筆ともに、穂先を下にして立てて乾燥してください。以下のように洗濯ばさみで吊るしたり、ブラシ立てに挿すなどして、穂先を下にして乾燥しましょう。風通しの良い、直射日光が当たらない場所で自然に乾燥させます。
小筆は、皿の淵などに寝かせて乾燥してもOK
小筆は、立てなくても皿の淵などに寝かせて乾かしても良いです。ただし寝かせて乾燥させる場合は、穂先(毛束)がどこにも接触しないように注意しましょう。
もし筆置きなどがなければ、使った皿のふちなどを使うのも一案です。いずれにしても、穂先がどこかに接触しないよう浮かせられれば問題ありません。
筆の手入れと保管の方法|禅人
筆の保管方法
筆が完全に乾いた後は、適切な方法で次に使うまで収納・保管しましょう。一番良いのは「筆巻き」に入れて保管しておくことです。
筆巻きは通気性に優れており、筆へのダメージを防いでくれます。持ち運びにも便利です。
完全に乾燥しきった後は、筆巻きに入れて保管することをおすすめします。通気性がよく持ち運びにも便利で、一つ持っていると重宝します。
筆の手入れと保管の方法|禅人
筆を手入れ・保管するときにしてはいけないこと5つ
筆を手入れ・保管するときの注意点を、5点まとめました。
- 洗剤を使って洗う
- 筆を立てて押し付けて洗う
- 直射日光やドライヤーで乾燥させる
- 筆先にキャップを付けて保管する
- 完全に乾いていないまま使用する
NG行為①洗剤を使って洗う
してはいけないこと1つ目は、洗剤を使って洗うことです。洗剤を使って洗うことで、傷みやすくなります。
筆用の専用シャンプーを使うのはOK
しかし、洗剤でも筆用の専用シャンプーを使って洗う分には問題ありません。Amazonや楽天等で、このような筆専用シャンプーが販売されています。値段も1,000円ほどですし、何回も使えるため一度試してみると良いでしょう。
筆先をリンスで洗うのは非推奨
髪の毛と同じように、筆先もリンスで洗うとボサボサになりにくい・割れにくい、また書きやすくなるといった情報が出回っています。
Q:習字の筆をリンスで洗うといいって本当ですか? すぐ筆が割れてしまうので、友達に相談したらそれを勧められました。
A:いいと思います! 私はいつもリンスで洗っていますよ。 おすすめです。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10121698495
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10121698495
しかし、リンスを使うのはおすすめしません。書道家の藤井碧峰氏は「やめておきましょう。」と非推奨でした。
Q:筆にリンスをすると、書きやすくなりますか?
A:油分がついて墨の含みが悪くなりますのでやめておきましょう。
書道家が筆の洗い方、直し方をメーカーの知恵も借りながら全力で考える|藤井碧峰
筆者も昔書道を習っていた頃に、溜めたお湯にリンスを適量入れて溶かして洗っていました。確かに割れにくいとは感じましたが、筆が柔らかくなりすぎたように感じて書きにくかった印象が残っています。
リンスを使うことが正しいとは断言できず、注意しなければなりません。使い方やどのように手入れをしているかで、筆の状態も異なるからです。
もしリンスを使ってみたいという場合は、まず失敗してもダメージが少ない安い筆から試しましょう。
NG行為②筆を立てて押し付けて洗う
してはいけないこと2つ目は、筆を立てて押し付けて洗うことです。
墨をしっかりと落とす必要がありますが、押し付けて洗っても墨が完全に取れるわけではありません。押し付けることで、筆先の曲がりや割れ・切れの原因になります。
ペットボトルの中で押し付けて洗うと、穂先が切れたり摩耗します。その割には根元の墨は落ちないので、早く筆が割れて書けなくなります。(中略)
)Yahoo!知恵袋
NG行為③直射日光やドライヤーで乾燥させる
早く乾かしたいからといって、直射日光やドライヤーの風に当てて乾燥するのは絶対に止めてください。筆者も昔筆を早く乾かしたくてドライヤーの熱風を当てましたが、見事に筆先が割れて使い物にならなくなりました‥。
人間の毛と同じで熱風には弱いため、縮れた感じになってしまうので絶対駄目です。
書道家が筆の洗い方、直し方をメーカーの知恵も借りながら全力で考える|藤井碧峰
このツイート主はドライヤーでは無くてストーブで乾かしたようですが、いずれにしても筆がダメになったパターンです。焦げたとのこと、一歩間違えれば火事のリスクもあります。
NG行為④筆先にキャップを付けて保管する
してはいけないこと4つ目は、筆先にキャップを付けて保管することです。
新しく筆を購入した際、必ずキャップが付いています。これは、手元に届くまで毛束を保護するためのものです。洗って乾いた後に付けてしまうと、毛の腐り・傷みの原因になります。
ご購入いただいた時についていたキャップは、一度おろした筆にはつけないでください。水分を含んだ穂の毛が蒸れてしまい、毛が腐って抜け毛や切れ毛の原因となります。
筆の使い方|広島筆産業株式会社
筆メーカーである名村大成堂も、X(旧Twitter)で、キャップを保管用に使わないよう注意喚起しています。
NG行為⑤完全に乾いていないまま使用する
最後のしてはいけないことは、完全に乾いていないまま使用することです。
完全に乾いていない状態で使うと、カビが生えたり毛が腐る原因になります。毛も切れやすくなり、すぐダメになってしまう可能性も。
筆が乾ききらないうちに再び使ってしまうと毛の差し込み部分が常に湿った状態になり、毛が腐る原因になってしまいます。 毛が腐ってしまうと、抜け毛や切れ毛ができやすくなり、穂先ごと抜けてしまったり割れてしまいますので注意しましょう。
筆の洗い方・お手入れ|書遊Online
大筆・小筆ともに長く使っていくためにも、以上の5点に気を付けながら手入れ・保管していただければと思います。
筆のボサボサを直す方法!広がった筆先をまっすぐにするには